わかる人にはわかる。

こんにちわ☀

今日は今まであまりおはなししてこなかった、画材の費用について。アートに興味はあるけど、なかなか買う勇気が出ない方も、いつも買って下さっている方にも読んでほしいお話。

『安い絵の具使っているでしょ?』

2008年ごろに田中の絵を見たある人が放った言葉。素人の私はそのお話を聞いたときにとても驚きました。作家さんが使っている絵具は高価なものなんだろうなというなんとなくの想像は持っていましたが、それでも絵を見ただけで絵具の質までわかってしまう世界というのは『甘く見ていた…』と咄嗟に感じたのです。

その言葉をもらって以来田中は絵具を買い改めたそうですが、画材の費用はかさむ一方で、在庫を持ちすぎることも危険。絵具だけではなく額や筆でも、かなり作品の完成度や飾った時の印象は左右されるため「絵を描くって本当にお金がかかるんですよ」と彼は言います。「失敗だってできないし、沢山描いても売れなければ次の作品は作れないし。額は相応のものを見つけるとなるとかなり大変だから僕は額をセットにして売るようにしていて、それはすごくお客さんが喜んでくれるけど良い額は高いからどうしても販売する値段も高くなってしまうし。」

絵を見る側の世界にいる私は、尊敬の気持ちはありつつも、こんなに高い絵が売れるってことは相当稼いでいるんだろうなとか、儲けたいから描いてる人もいるんだろうなとか、そんないやらしい考えすらありました。彼の言葉を聞いて、自分の今までの考えが恥ずかしくなりました。当たり前のように素材の良いものを使い、当たり前のように絵に合う額をじっくり選び、手間をかけてその額を取り付けてくれて、さらには気持ちと時間と労力を注いでやっと一つの作品が出来上がる。その工程を思えば、私が高価すぎて買えないと思っていた絵はむしろ安すぎるくらいなのではないかと。はっとさせられたんです。

『絵を描く』ということ。それは絵に込められた思いやストーリーだけではなく、もっと忘れてはいけないことがある。描くという行為の前や中に、数えきれないほどの細かい”下準備”や試行錯誤が当たり前に存在しているということ。自分が食べているものにどんな成分が含まれているかをきちんと知ることから体作りや健康が始まるように、自分が好きだと思う絵にはどんな材料が使われていて、どんな工程があるのか知ることでもっとその絵を楽しめるのでないか。手元に届いて壁に飾ったその時の感動が増すのではないか。

また一つ、私はアートという世界の虜になった。

また一つ、画家というアーティストへの尊敬が増した。

みなさんもぜひ、絵を買う時は画材について質問してみてください。当スタジオはそんなお話をゆっくりと語らえる落ち着いた空間です。いつでもお気軽にお越しくださいませ。